2011-01-04

ラス・エル・ハヌーとエッサウィラの魚のタジン


参加した旅は2週間のハイキング。一週間目はアトラス山脈、第2週目が海岸沿い。その間の二日間マラケッシュを観光。
マラケッシュでは有名なJamaa el Fna市場で、樽に香料が山々と並べられている。中で一番目についたのが、ラス・エル・ハヌー (Ras el hanout) というタジンに使用されるスパイス。27種類の香料がミックスされていていて素敵だ。目の前で粉に削ってくれる。

1週間目の山登りは大変だったが、2週間目は海岸沿いで気持ちが好い。山はロバが荷物を持ってくれたが、海岸沿いはラクダのキャラバンで旅をする。

付き添いのコックさんはベルベル人のモハメッドさん。お客とともに旅をしながら朝昼晩と20人分の料理をする。決して容易でない。ロバやラクダも一周間分の食料と燃料、そしてお鍋や食器を運ぶ。一食おきに荷物を開け閉めする作業も大変だ。毎晩キッチン用に大きなテントが張られ、中にわらの敷物を敷いて、小さな燃料タンクが三つ四つ並べられる。献立は、やはりクスクスとタジンという外国人にも良く知られている料理がメイン。

モハメッドさんはフランス語が喋れないが、野菜の切り方からスパイスの加減まで、モロッコ料理の作り方を教えてくれた。「ベルベル人はクスクスに3回火を通す」と誇り気に説明してくれた。
まず、お鍋にクスクスを入れて熱湯をかける。そしてオリーブオイルを振りかける。蓋をして5分ほど寝かせる。そして手で固まりを崩してあげる。その後クスクシエール(蒸し器)にいれて15分程蒸し、お鍋戻して熱湯と油をふりかける。再度よく混ぜ、さらにして再度蒸し器にいれて15分程で蒸し上げ、お鍋に戻して3回目に熱湯と油をたしてまぜる。こういった作業を繰り返すとチンとは比べ物にならないふわふわのクスクスが出来上がる。
料理のこつを一つ教わった。人参には芯の黄色い部分と周りのオレンジの部分と固さが違う。全部一緒に煮るとどうしても芯が固いままか外が柔らかすぎるか。一本ずつ芯を丁寧に抜いて捨てる。
モッロッコ人はお客のフランス人とは一緒に食事をとらない。付き添いのガイドさんも夕食に時々顔を出すだけ。「何故一緒に食べないのですか?」と聞くと、「私達はお皿を使わずお鍋から直接に手で食べるからです。」と説明してくれた。
毎日コックさんのお手伝いしたおかげで、二週間目はモロッコ人の仲間に入れてもらえた。一緒にお茶を飲んだり朝食を取らせてくれた。フランス人は朝パンにチーズとジャムを載せて紅茶やコーヒーをすすう。比べてモロッコ人はパンをオリーブオイルにつけてミントティーを飲みます。午後のおやつも同じ。フランス人に食べさせるビスケットはいやがって手も付けない。ミントの代わりにアブサンスのお茶も飲む。これはフランスで禁止されているお酒でなく、同名の濃厚な味と香りがするハーブだ。ほんの少しだけちぎって入れるが濃厚である。
この旅、終点がエサウイエラという港町。夕方与えられた自由時間に街をぶらぶらしているとモロッコ人に日本語で声をかけらた。何を売りつけられるのか、と振り向くと、20代前半の男性が笑顔で、上手な日本語で会話を始めた。「奨学金を貰って名古屋の大学に留学しています。」「私の古里の名古屋ですか?」カフェで話し込んだ後「今晩お魚のタジンを作るので食べに来ませんか」と誘われた。
魚のタジンは肉と違って、まず鍋に底に輪切りにした人参を敷く。魚を直に並べると焦げてしまうからだ。その上に好きな魚を乗せ、さらに他のお野菜(ズキニ、ジャガイモ、トマト、レモンのコンフィ、オリーブ等)を重ねる。味付けは簡単で、パプリカ、キューミン、刻んだニンニク、塩をオリーブオイルに入れて混ぜて掛けるだけ。タジン鍋をオーブンに放り込んで1時間半後に出来上がり。勿論タジンをテーブルの真ん中に置いて直接ちぎったパンと親指で挟んで食べる。
5人でテーブルを囲んで食事をしたが、皆すごい勢いで食べだす。熱い物をつかむのに慣れていない私はの部分だけタジン鍋の中が山状になってしまった。招待してくれた子が、「食べなよ」と、さめた魚を取って渡してくれた。やさしい。これからも名古屋で頑張ってください。

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